1200m専科

JRAのスプリント競馬を研究するので

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競馬本読書第2回「競馬感性の法則」角居勝彦:著

〇この本を選んだ理由

馬券力向上のためには、著名予想家やプロの解説者のお話を拝聴するのが早道。ですが、それって原典読まずに解説書だけ読んでる感じ。即効性があるかもしれないが、競馬を深く理解し、新たな気づきを得るには、馬に最も近い所にいる人の声にかなうものなし・・・そんな思いから今回手に取ったのは、角居勝彦調教師の著書「競馬感性の法則 (小学館新書)」です。

 
この本は週刊ポストでの連載記事を再構成して2017年4月に出版されたもの。元の記事の一部は週刊ポストセブンのwebページでも読むことができます。
「角居勝彦の頭の中を競馬ファンにさらす」という決意で書かれたとのこと。現場の生の声を聞けるなんて競馬ファンには嬉しい1冊です。
 

〇本の内容

本の前半(第1章から第2章)は全G1と主な重賞、計35レースにまつわるエッセイ。調教師として各レースに対してどんな考え方で臨んでいるのかが述べられています。レース選択やローテの組み方など、厩舎の思惑に考えを巡らせると予想も深まりそうです。ただ、レースに出走させた管理馬のエピソードを中心にして語っているため、競馬歴が長い人にとってはお馴染みの名馬の裏話は興味深く読める一方で、ビギナーにとってはやや退屈かもしれません。
後半(第3章以降)は競走馬のライフサイクルから、厩舎運営や騎手、調教のこと、パドックや返し馬の見方など。具体的に馬券に活かせそうなネタが随所に転がっております。
 

〇スプリント戦に活かせるか?

さて、ここまで馬券に活かせそうと書いておきながら言うのもなんですが、この本、「1200m専科」としてはあまり役に立ちません。
なぜなら、角居厩舎は短距離戦は全く使わないから。この本にはスプリント戦に関する知見は全く見当たりません。
いやー、読むまで全く意識していませんでした。お恥ずかしい。ある意味、対極に位置する本を選んでしまったかも。確かに短距離戦で角居厩舎コメントとか見たことないですね・・・調べてみると、なるほど短距離を使ってくる厩舎には明らかな偏りがあります。それはまた別の機会に書いてみたいと思います。
 
ちなみに短距離で使わない理由もはっきり述べられています。一つは中長距離と短距離では調教ノウハウが違うこと、もう一つは我慢させられない馬を短距離で使うのは調教技術の後退だと考えていること。競馬界はマイル以上>スプリントという価値観で経済が回ってる限り合理的な判断でしょうが・・・角居厩舎じゃなかったら短距離戦線で活躍できた馬もいたのではないか、との考えもよぎります。でも、割り切る力、取捨選択力とでも言いましょうか、その確固たるポリシーがあったからこそ、数々の重賞馬を輩出できたんでしょうね。
 

〇ぜひ続編を

まあ、そんなズブの素人から批判を受けるリスクも厭わず、競馬界のインサイドを見せてくれる角居師には感謝感激です。この本は競馬一般の知識や考え方が深まることうけあい。
今後もぜひ連載を続けてもっともっと競馬ファンに向けて情報発信をして欲しいところですが、残念ながらこの連載は2019年4月5日号で終了しております。
角居師は引退を宣言されているので、身辺整理の一環なのでしょう。
2017~2019年の連載分が続編として発刊されることがあれば、ぜひ購入したいと思います。
 
以上、競馬本読書でした。